学生時代に、プランクトンを研究対象としていた私にとって、読者の皆様にまずしっていただきたいことが、
「プランクトンってなんだ?」って話です。
イメージとしては、皆様それぞれお持ちでしょう。
おそらく顕微鏡で眺めていた小さな小さな生き物というイメージですよね?
実は、
プランクトンという言葉にも定義があり、
その言葉に沿って分類すると、大型生物でさえプランクトン扱いされていしまうんです!
今日は、プランクトンの定義に注目してみましょう!
プランクトンの定義
プランクトンの語源は、ギリシャ語の「プランクトス」に由来しています。
この言葉には、「さまよい歩くもの」という意味があるんです。
つまり、
プランクトンとは、遊泳能力が小さいため、「水の流れに逆らって泳ぐことの出来ない生物」のことを指します。
そのため、生物の大きさは関係ないんです。
プランクトンの定義
水の流れに逆らって泳ぐことの出来ない生物
クラゲはプランクトン
プランクトンの定義から考えると、
海をぷかぷか漂っているクラゲはどうでしょう?
水の流れに逆らって泳ぐことはできませんね。
そのため、クラゲはプランクトンです。
ちなみに、
日本海に生息し、世界最大級のクラゲとして有名なエチゼンクラゲは、傘の直径が2mに達し、重量は150kgほどになりますが、遊泳能力が小さいため、プランクトンとして扱われます。
あんなに巨大な生物でもプランクトンなんですよ!
じゃあ!マンボウはプランクトンですか?
ぷかぷか漂っているイメージがあるマンボウですが、
実は遊泳能力はそこそこあります。
生物に記録計をつけて調査する「バイオロギング」という研究手法があるのですが、
近年その研究結果により、マンボウの行動が明らかになってきました。
それによると、マンボウの平均遊泳スピードは時速約2.2kmで、
バショウカジキ(時速約2.3km)や一部のサメと同程度のスピードが出せることが分かっています。
なので、【水の流れ逆らって泳ぐこと】はできそうです!
ただし、その遊泳能力を発揮する機会はあまりないのかもしれませんね笑。
実際、海でプランクトン採取用のネットをゆっくりゆっくり引っ張ったとき、
中にマンボウが捕まっているなんて話も聞きます。
(プランクトンネットに捕まっているなら、プランクトンでもいいような気もしてきました笑。)
ゆっくり漂っているイメージもあるため、ネット上で調べてみると、マンボウがプランクトンとして扱われているケースもありますが、
ネクトンというのは、
プランクトンと共に、水底にも水面にも接さず水中に住む生物で、水の流れに逆らって泳ぐことの出来る生物です。
ネクトンの定義
水の流れに逆らって泳ぐことの出来る生物
参考
アメリカの大学のある研究者の記事で、
「1960年代に大学で、マンボウはプランクトンと教えられた。」という一文を見つけました。
もしかしたら、当時はマンボウの生態がまだよく分かっていなかったのかもしれませんね。
やる気なさそうに海を漂っているマンボウあんて、遊泳能力がないんだから、プランクトンに違いない!って感じでしょうね。
近年「バイオロギング」や飼育によって、意外な生態が明らかになってきたんでしょうね!
ホントに技術の進歩は素晴らしいものです!
ということで、マンボウはプランクトンではなく、ネクトンでお願いします!
とはいえ、
プランクトン・ネクトンの定義の違いにもなっている
【水の流れ】に逆らえるかどうかって、結構いいかげんですよね。
【水の流れ】って一言で言っても、どの程度の強さだよ!って。
私も気になっているのですが、具体的な数値が調べても出てこないんですよね。
海洋生物の中には、成長とともにプランクトンからネクトンになることは、ごく普通ですから、
(稚魚や幼生は遊泳能力が小さいのは明らかですよね!)
プランクトンとネクトンを厳密に区別する必要性もないのかもしれませんね。
今日は、プランクトンとは何かについて、
クラゲとマンボウに登場してもらいながら考えてみました。
プランクトンという言葉の定義を改めて認識してみると、
これまで捉えていた世界を少し違う角度で見ることができませんか?
プランクトンって、顕微鏡でしか見えない生物だけじゃないんですよ!
読者の皆様にとって、日常の小さな発見になれば幸いです。
そろそろクラゲシーズンの到来ですね!
海にプランクトンを見つけに行くのも面白いかもしれません!
さあ、選択しましょう!